棄捐令と疫病神
幕府の一方的はお沙汰で出された『棄捐令(きえんれい)』によって札差屋は大打撃を被ることになります。
近江屋に至っては武家の2万両の借金を帳消しにされてしまったことで、とても茜の身請け代にまで手が回らない状況になっても諦めきれず「なんとかする!」という惣右助ですが・・・。
さらに誠二郎の捨て台詞によって自分のことを『疫病神』だと思い込んで惣右助から遠ざかろうとする茜・・・。
まさに呪いをかけられてしまったような有様でした。
惣右助は最後の手段として松坂屋や三橋に頼ることも考えました。
一方、当の茜は松坂屋や三橋の申し出を断ってしまいます。
「女郎ごときにもうこれ以上ご迷惑はかけられない」
と、どっぷりとネガティブな感情に落ち込んでいる茜に利一郎は、
「地獄までもお供します」と言うのでした。
諦めない惣右助
数日後、菊乃丞の招待を受けた茜は曙楼の皆と共に芝居を見にいきます。
しかし芝居などを楽しむ気分になれない茜はため息をつくだけです。
ところが隣に座ってきたのが、菊乃丞に知らせをもらった惣右助でした。
惣右助は茜の手を握り、『あきらめるつもりは毛頭ない』と伝えてきます。
茜も『あの芝居の仙人のように雲に乗ってどこへでも行けたら狐のように化かして愛しい人の妻になれたら・・・』と、切なく想いながら「今この時だけでも」と寄り添い、つかの間の逢瀬にキスをかわしたふたりです。
懐妊
やがてもうすぐ師走(12月)というある日のこと、茜は体調を崩していました。
そのお腹には惣右助の子供が宿っていましたが、茜はツワリだと気づかず、紫の方が先に気づいて堕胎を勧めてきたのです。
「振新が産めるはずもないじゃろう・・・最後は投げ込み寺行きじゃ」
しかし惣右助の子がお腹にいるとわかった以上、茜は堕胎などするわけもなく、逆にその心は即座に決まってしまいました。
茜は利一郎を使いに立てて、親戚筋の家に自分を請け出してくれるように頼んだのです。
とはいえ、茜をの身請け料はいくら親元なら半額とは言っても200両もの大金なので、とても全額出してもらえるとは思えず、真木村に頼んで新美の殿に助けてほしいと頼むのでした。
もちろん惣右助には何も告げずに・・・と。
再会するふたり
けれど惣右助の方は全く諦めていず、九郎助稲荷で茜が出てくるのを待ち伏せしていたのです。
ようやく茜に会うことができた惣右助は、
「なんだってそう容易く俺の手を放すんだ・・・!」と怒ります。
「おまえと一緒にいられんなら、世間を敵に回そうがそれは不幸じゃねェんだよ・・・」
そう言って抱きしめてきます。
茜も「この人を幸せにしたい 私のこの手で」と。
ふたりは強く抱きしめ合いキスをかわしますが、その時、茜はつわりのせいで吐き気を感じ、その様子に惣右助も茜が妊娠していることを悟るのでした。
喜んだ惣右助は今すぐに金を工面すると駆けだそうとし、「それはダメ!」と茜がストップをかけます。
茜に瞳には再び『諦めない!私たちの新たな物語を始めるために!』という力強い光が灯ったのです。